2018.運営方針management policy 

部門名の再編

 2016年度から総医研の部門を、1)再生医療学研究部門、2)ゲノム解析研究部門、3)創薬・病態解析研究部門、4)血液腫瘍学研究部門、5)肝臓・腎臓病学研究部門の5部門に再編した。すなわち、部門名称から各部門の研究内容が可視化できるように改名し、かつ総医研に新たに加わった若手の所員(2015年度2名、2016年度1名、2018年度2名)が部門内で協力を得つつ充分な力を発揮できるような組織構成に改革しました。

共同研究の促進・若手研究者の育成

 若手研究者を育てる事は最も重要な責務であると考え、その施策として積極的な研究会への参加(発表)を促し、学内外の若手研究者間の共同研究を推進、大型研究助成金の獲得や運用、若手研究者の採用、学内外の有識研究者との交流などを積極的に展開し、更に若手研究者を所員に登用して研究費を重点配分することを検討し、将来的には総合医学研究所の所員に任期制を導入して、人員の刷新を図って行くことを所員会議で議論しています。

1)学内外共同研究の促進
 学内の研究所と他学部、学外の研究機関との連携を深めるための交流の機会をつくる。具体的には、研修会、公開研究報告会(伊勢原校舎)の開催。更に広報活動を介して学内外共同研究を促進する目的で、所報・HPの作成、科学新聞紙上の座談会を予定しています。
 特に研修会は、ライフ・イノベーション分野での“研究の峰”の構築という趣旨に則り、東海大学内の学部・研究所を超えた研究者の連携と情報交換の場として役立てるため幅広く参加者を募り、多くの研究者が参加(発表)して交流を深めることを目的としています。2014年度まで実施していた一泊二日の研修会は、相互の情報交換・交流・共同研究の場として大変重要な役割りを果たしていました。講堂で集まって聴講するだけでは、このような関係を作ることは中々難しい状況です。また多忙な臨床医は最後まで聴講できない場合もあります。じっくりお互いの研究についてディスカッションし、交流を深め、共同研究に繋げたい旨、所員の要望を受けて2018年度は一泊二日の研修会を企画しています。

2)若手研究者の育成
 2015年度より、総合医学研究所の達成目標の1つである若手の育成・支援を目的に”特別研究所員(時限付)制度”を設けました。若手でおもしろい研究テーマを持っていて、実際にそれを実行できる先生方を育成する新しい取り組みで、毎年100万円ずつ3年間研究費を保証するシステムです。特に研究の時間をつくることが難しい若手の臨床医が選任されれば、3年間研究ができる環境が保障されるという条件付きなので、若い先生にとっては大事な3年間になると思います。将来に亘って活動性に富む研究所を運営するためには、新たな人材の確保、特に優秀な若手研究者の参加と育成が重要です。2018年度は、関根佳織講師(生体構造機能学)と中川草講師(分子生命科学)を新たに特別研究所員(時限付)に登用しました。また、所員の刷新を進めていく上で、若手の先生には任期終了後も継続して総合医学研究所で活動していただき、若手の研究が少しでも進展するようサポートしたい旨の方針で、大塚正人准教授(分子生命科学)は、2018年度から所員として総合医学研究所で活動します。今後も、ゲノム・再生・創薬といった分野に関わる若手研究者を医学部の中で育てて行きたいと考えます。

2018年度コアプロジェクトの選択

 2017年3月2日に開催された総合医学研究所「第21回公開研究報告会」で各グループより最新の研究進行状況が報告されました。この中で酒井大輔准教授のグループは、先進生命研究所との共同研究により椎間板変成疾患の原因となるIL-17の活性を阻害する小分子のスクリーニングに成功したことを報告しました。IL-17は免疫現象、炎症、がん悪液質など多面的な生命現象に関与するサイトカインであり、この成果は2018年度に飛躍的な進展を期待できると判断し、2018年度のコアプロジェクトに採択しました。
 このプロジェクトに関連するアイデアは所員の中に幅広くあり、共同研究も可能です。今後の方針として「所員全員が共同で、お互いのネットワークを利用して仕事を効率的に進めることができる体制」を目指し、更なる研究の活性化を図ります。

バナースペース


 2017年度は「リスクアリルを導入した脱毛モデルマウスによる円形脱毛症発症機序の解明」(総合医学研究所 岡晃講師)をコアプロジェクトに選定しました。岡講師のグループは、これまでに円形脱毛症ヒトゲノムを用いた遺伝学的な解析により、その原因遺伝子ならびに原因変異を同定しました。続いてCRISPR/Cas9システムにより、円形脱毛症患者で見出されたアミノ酸置換に相当する塩基配列へとマウスゲノムを編集し、円形脱毛症の脱毛に類似した進行性脱毛を生じるマウスの作製に成功しました。さらにその原因タンパク質は、hair shaftのhair keratinと相互作用することを明らかにし、この分子が毛髪の構造タンパク構成成分であることを世界で初めて同定しました。研究が進み遺伝子が同定された後の展開は、まさに「ゲノム・再生・創薬」の3つに繋がる成果です。積極的に総合医学研究所の成果として外部発信し、大型の研究費を獲得できるようにコアプロジェクトとしてサポートしました。今後のコアプロジェクトの選定については、将来大きな成果に繋がりそうなプロジェクトを研究所全体で積極的にバックアップして、より広い展開に繋げることを目指します。
 また2017年度より総合医学研究所、先進生命科学研究所、医学部を中心とした「in silico科学を活用した再生現象分子基盤の解明と臨床応用の実現」が東海大学TIARA構想の重点プロジェクトとして採択され、新たな研究分野の進展が期待されます。